株式会社有研 -登録衛生検査所-
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2025/05/28

飲食業と衛生管理

カテゴリ:衛生管理

食品を取り扱うすべての事業者にとって、衛生管理は欠かせないものです。たとえば飲食店では、さまざまな食材を使い、多くの人の手を通して料理が作られ、お客様に提供されます。また、接客やお金のやりとりも行われます。この過程で衛生管理が十分でないと、異物が混入したり、食中毒が発生したりする可能性があります。それにより、お客様からのクレームが発生し、さらには健康を害してしまう恐れもあります。

一度、こうした問題が起きると、お店の評判が悪くなり、再び来てもらえる可能性が低くなります。さらに、今はSNSやメディアが広がっているため、その事故が広く知られ、多くのお客様が来なくなるかもしれません。最悪の場合、店を閉めざるを得なくなることもあります。

こうしたリスクを避けるためには、衛生に関するルールをしっかり守り、お客様が安心して食事を楽しめるお店を作ることが大切です。ここでは、飲食店が知っておくべき衛生に関する法律について説明します。

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(1)食品安全基本法に基づく飲食店の責任

飲食店を経営する際に、知っておくべき法律の一つが「食品安全基本法」です。この法律では、食品の生産や加工の段階で、国民の健康を守るために必要な対策を取ることが求められています。つまり、飲食店は「食品の安全性を守る大きな責任がある」としています。したがって、飲食店は法的にも衛生管理を徹底する責任があることを理解しておく必要があります。

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(2)食品衛生法による営業許可

飲食店を営業するには、まず「食品衛生法」に基づいて「営業許可」を取得する必要があります。営業許可は都道府県知事が発行し、営業を始める前に管轄の保健所に申請をしなければなりません。

営業許可を得るためには、厨房や設備についての基準を守る必要があります。さらに、地域ごとに独自の条例がある場合もあるので、事前に保健所で確認しましょう。また、営業許可には期限があり、期限が切れる前に更新手続きをする必要があります。詳しくは管轄の保健所に問い合わせてください。

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(3)食品衛生責任者

飲食店では、食中毒を防ぐために「食品衛生責任者」を置かなければなりません。食品衛生責任者になるためには、資格が必要です。調理師や製菓衛生師などの資格がない人は、都道府県が行う講習会を受ける必要があります。講習会は6時間程度で、受講後に修了証が発行されます。この修了証は、営業許可の申請時に必要なので、きちんと保管してください。

もし食品衛生責任者が退職や異動した場合は、速やかに保健所に「食品衛生責任者変更届」を提出する必要があります。

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(4)HACCPに沿った衛生管理

令和3年6月1日から、全ての飲食店は「HACCP(ハサップ)」に基づく衛生管理を行わなければなりません。

HACCPとは、食材の入荷から調理、出荷までの全ての工程で、異物混入や食中毒のリスクを把握し、それを防ぐために特に重要な工程を管理する方法です。簡単に言うと、衛生管理計画を作成し、その記録を残して「衛生管理の見える化」をすることです。

この計画は、食中毒予防の基本である「菌をつけない、増やさない、やっつける」などを元に作成します。そして、計画に従って調理の記録を残すことで、きちんと衛生管理が行われていることを証明できます。また、この記録をつけることによって、従業員も衛生管理を意識するようになり、店全体の衛生レベルが向上します。店内のルールとしてしっかり徹底しましょう。